2017年5月29日月曜日

相横歩取り▲8三飛

相横歩取り ▲8三飛

相横歩取り▲7七銀型での変化の1つです。
▲7七銀に△7四飛 ▲同飛 △同歩と進んだ局面です。


ここで▲4六角と打つのが本線と言われますが、▲8三飛と打ちこんで龍を作る順も有力とされています。

▲8三飛は桂取りになっているので、後手はそれ受けます。

受け方として①△8二飛、②△7二銀、③△8二歩の3パターンを調べていきます。

①△8二飛

飛車を合わせる受け方です。


単純に▲同飛△同銀となれば、▲4六角と打つ本線の変化に合流します。

それでも先手がやれるわけですが、もっと分かりやすく先手が良くなる順があります。

この△8二飛の合わせに対して、
▲8四歩 △7二金 ▲8二飛成 △同銀 ▲8三角
これで決まっています。

△同銀には▲同歩成 △同金 ▲7一飛ですし、
△7一金と逃げても、▲7四角成としておいて次の▲8三歩成から攻めが続きます。

ということで、▲8三飛の打ちこみに△8二飛と合わせるのは、後手が良くなりません。

②△7二銀

▲6三飛成を防ごうと思えば、△7二銀と受けるのが自然だと思います。


△7二銀には▲8二飛成と龍を作っておきます。いつでも▲9一龍と香車を取ることができます。

対して後手は、香車を取らせまいと△6四角と打ちます。
もし▲8八龍と深く引くなら、△3六歩から角筋を活かした攻めで、後手も十分指せます。

したがって、先手は▲8五龍と中段に引きます。△3六歩には▲3五龍と受けに徹する方針です。

▲8五龍には△7三桂と当てて、さらに△3三桂と左桂も活用していく構想で、後手満足なのではないかと思います。

この△7二銀の受けは、定跡書ではあまり細かく解説されていないようですが、後手にとって特別悪い変化もなさそうで、有力な気がします。

③△8二歩

定跡書では△8二歩ばかりが解説されているようです。
ここで先手はA.▲6三飛成とB.▲8六飛成があります。

A.▲6三飛成

▲6三飛成には△2七角と打ちます。
龍取りと△4九角成の両狙いの一着です。

龍を抜かれてはまずいので▲5三龍と王手で逃げますが、
△5二歩 ▲5六龍と進んで、そこで△4九角成から後手の猛攻が始まります。
当然▲同玉の1手ですが、△6九飛車とおろして後手の攻めが続きます。

▲8六飛成

飛車を打ちこんで敵陣で暴れるわけでもなく、本当にただただ龍を作っただけの手ですが、▲8三飛と打ちこむ変化ではこれが本線になります。
対して後手は△2七角と打ちこみます。

先ほど(▲6三飛成の変化)では△2七角が龍に当たるので非常に効果的でしたが、龍に当たらないこの形でも角を打ちこんでいきます。
△2七角には▲3六角と合わせます。
△同角成なら▲同龍として、先手陣に隙がなく、龍ができている分だけ先手が得をしています。

▲3六角に素直に△同角成ではつまらないので、△4九角成と切っていきます。先手も▲同玉の一手です。
ここで△6九飛と打ちこんでも、8九の桂馬にはヒモが付いているので迫力がありません。

ここでは△3八歩と叩くのが急所となります。この△3八歩は、相横歩での△2七角~△4九角成の筋でよく現れる叩きです。

この△3八歩への対応が悩ましく、
▲同玉は△5八飛、
▲同銀は△2八金で、次に△3九飛があるので▲4八角と受けますが、△3八金 ▲同玉 △2八歩(取れば△5八飛)です。

したがって△3八歩には仕方なく▲2八銀と逃げるのですが、△3九金と筋の悪そうなところに金を打ちこんで行きます。
▲同銀は△同歩成 ▲同玉 △5八飛が厳しいです。

金を取らずに▲5八玉と逃げておくのが正着です。

以下は、
△2九金 ▲6三角成 △2八金 ▲8一馬
のように進んで、先手が指せる展開です。



2017年5月28日日曜日

超急戦回避△6二玉

超急戦回避△6二玉(ゴキゲン中飛車)

ゴキゲン中飛車の▲5八金右超急戦を後手が△6二玉と回避する指し方についてです。
知ってる人にとってはおそらく基本的であろうところから確認をしていきます。

△6二玉までの手順

初手から
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △5四歩 ▲2五歩 △5二飛
▲5八金右 △6二玉

先手の▲5八金右に対して△5五歩と突かずに、△6二玉と上がるのが超急戦回避策の1つです。
△6二玉のところでは他に△8八角成や△9四歩といった手もあり、これらも回避策です。

この△6二玉と超急戦を拒否した手に対して、先手の対応としてどんなものがあるか調べてみます

①▲2二角成(丸山ワクチン風)

△6二玉に▲2二角成 △同銀 ▲9六歩と進めれば丸山ワクチンのような進行になります。

▲9六歩のところですぐに▲7八銀としてしまうと、△5五歩と伸ばされ飛車先を交換されてしまいます。

△5五歩の瞬間に▲6五角が打てそうですが、
△3二金 ▲8三角成 △8八角
と角を打ちこまれて、馬を作ったものの香損してしまう進行です。

このときに香車を逃げるスペースとして、先に▲9六歩と突いておきます。

これで間接的にすぐの△5五歩を防いでいるということになります。

角交換して丸山ワクチンの形に持ちこんだ場合、先手は左美濃に囲って持久戦調の将棋となります。

ただ、最初から丸山ワクチンを指すつもりなら▲5八金右のところで角交換するものなので、▲5八金右を指しておいて後から△6二玉を見て丸山ワクチンに合流させる人はなかなかいないでしょう。

本来の丸山ワクチンと比較しても、早い段階で指す必要のない▲5八金右が入っているのがどう影響するかというのもあります。

②▲4八銀

とりあえず駒組みを進める手です。すぐに戦いは起きません。
一例として以下は、
△7二玉 ▲6八玉 △5五歩 ▲2四歩 △同歩 ▲同飛
△3二金 ▲2八飛 △2三歩 ▲4六歩 △3五歩 ▲4七銀
のように、△3二金で超急戦回避した時と似た進行になることが考えられます。
他にも、後手の出方次第で様々な変化が出てきます。

③▲2四歩


2筋が無防備なので行きたくなる手ですが、超急戦を多少なりとも勉強した人なら無理筋だとすぐに気が付きます。

▲2四歩以下は、
△同歩 ▲同飛 △8八角成 ▲同銀 △3三角 ▲2一飛成
△8八角成
超急戦の進行ならここで▲5五桂と馬の利きを遮断して、次に▲1一龍と香車を拾うことができました。

しかし△6二玉に対して超急戦と同じように▲2四歩と踏み込んでしまうと、銀桂交換で駒損した上に香を拾うこともできず、後手優勢となります。


回避策△6二玉には

▲4八銀と指して無難に駒組みをしていくのが一番です。
超急戦を指したかった方には残念ですが、激しい展開に持ちこむことはできません。

ひとまず▲4八銀と上がって、一局の将棋を楽しみましょう。

2017年5月27日土曜日

四間飛車△3二金型

どうにか克服したいと思ってる局面です。

四間飛車△3二金型
四間飛車に▲5七銀左急戦を仕掛けに行くと、たまに現れるのがこの△3二金型です。

定跡として定番なのは、この左金が5二にいる形です。
この形になるときはだいたい先に△5二金左と指して、その後に△4三銀と上がります。

ひとまず△5二金型と△3二金型それぞれの強みと弱みを挙げられるだけ挙げてみたいと思います。

違うのは左金の位置だけですが、この金の位置の違いで何が変わってくるかです。

△5二金型の長所
・金が2枚とも囲いに使われているので玉が固い
・5三の地点に金の利きがある
・持久戦になった時に△6三金などと囲いを発展させられる
・三間飛車や向かい飛車に振り直すことができる

△3二金型の長所
・左金で2筋を守っているので居飛車の飛車先突破を防げる
・飛車を5筋(中飛車)や6筋(右四間)に振り直すことができる

上に長所として挙げたポイントの裏を返しただけですが、
△5二金型の短所
・2筋が薄いので飛車先を突破されやすい
・飛車を5筋6筋に振り直して使うには手がかかる

△3二金型の短所
・左金が囲いから離れているので玉が薄い
・5三地点に利きがなく中央が手薄
・持久戦調になっても囲いの発展が難しい
・△3二飛や△2二飛といった活用の仕方はできない

こんなところでしょうか。

ということで△3二金型に構えられたときに、△5二金型と同じように
「2筋から突破しに行く」
方針で指すのは得策ではありません。

△3二金型の短所が出るような展開に持ちこむことを考えてみます。

まず1つめとして
「左金が囲いから離れているので玉が薄い」
わけですから、玉が薄いということは強い戦いができません。

基本的に四間飛車側から飛車交換を挑んできたり大駒を切ってくるような大胆な戦いに持ちこんでくることは考えにくいです。

そうとなれば、居飛車側の4筋の守りはある程度手薄になってしまっても何とかなりそうです。

つまり5七の銀はいつまでも5七にいる必要はありませんし、4八の銀も4筋の守り駒としてだけの役割として終わらせてしまうのももったいないです。

特に4八銀ですが、2筋からの突破が考えにくいので5筋方面へ活用していくのが良さそうです。

2つめは
「5三地点に利きがなく中央が手薄」
だというところを突いて、5筋から攻め込むことを考えます。

▲5五歩と位を取って、いつでも▲5四歩の突き捨てから戦いを始めるイメージでしょうか。

また▲9七角の覗きがいつでも先手で入るのも大きいです。

3つ目は
「持久戦調になっても囲いの発展が難しい」
ということですが、これは無理して2筋突破を狙わずに駒組みを進めていけば、自然と△3二金型の弱みがあらわになってきます。

駒組みは、銀だけが前に出ていくような急戦とは違って、歩を前に出して陣形を高くしていくような感じです。

4つ目は
「△3二飛や△2二飛といった活用の仕方はできない」
ことです

△3二飛と回る順は相当考えにくいので、3筋から飛車を成りこまれる心配が薄まります。

ということは▲3七桂と跳ねて活用しに行っても、桂頭を攻められる展開にはなりにくいと言えます。


そんなわけで以上のポイントを踏まえると、考え方としては5筋位取りのような指し回しをするのが最有力なのではと思いました。

2017年5月22日月曜日

詰めろか判断できる力

将棋で勝つためには序盤や中盤も大事ですけど、終盤力が大事です。

終盤力を鍛える方法といったら、まず詰将棋が思い浮かびますよね。

今回は、詰将棋を解くことで"詰めろになってるかどうかを瞬時に判断できる"ようになる話と、"詰めろかどうかを瞬時に判断できる能力"が勝ちにどう結び付くのかという話を書いていきたいと思います。


繰り返しになりますが、将棋で勝つためには終盤力がものすごく大切です。

序盤や中盤は1手や2手ミスしても取り返しが付くことが多いです。

でも、終盤で1手間違えると一気にひっくり返ります。

しかも、そのミスによって逆転が不可能になるケースがほとんどです。

ということなので、「序中盤を正確に指す力」よりも「終盤を正確に指す力」を備えているほうが勝ちやすいことになります。

特に、詰むか詰まないかの切迫した局面でこそ「終盤を正確に指す力」がものを言います。

この"詰むか詰まないか"を判断できる力、そしてそれを"短時間で見抜ける力"が勝敗に直結するのですが、これを鍛えるにはどうしたら良いかです。

はい、冒頭にも書いたように詰将棋を解くんです。


で、ただ解けばいいというわけではないんです。
(いや、ただ解いてもいいんですけど 笑)

"詰むか詰まないか"を"短時間"で判断できる力を付けるには、短手数の詰将棋を繰り返し解くことです。

短手数の詰将棋本は1周して「全部解き終わったー」でバイバイするものではありません。

何周もして、1問をどれだけ時間かけずに処理できるか、を鍛え上げるのです。

1手詰や3手詰の問題を、1問5秒程度で解けるようになるくらい繰り返しましょう。

できれば3秒、もっと欲を言うと1秒、もはや見た瞬間には解けてる、くらいになるのが理想です。

どうしてこんな短時間で解けるようになる必要があるのか、を説明しましょう。

対局中って頭の中で駒動かして、その駒動かした後の局面から次の1手を考えますよね。

その駒を動かした後の局面が詰めろになってるかどうか、というのを毎回チェックしなければいけないのです。

ということは、現局面からたった1手動かすだけでも何パターンもあるわけじゃないですか。

そのすべてのパターンに対して、その局面が詰めろになってるかどうかをチェックする必要があります。

もっと言うと、自分が駒動かした後の局面だけではなくて、そこからさらに相手も駒を動かした2手先の局面でも毎回、"詰めろになってるかどうかチェック"が必要なんです。

2手先の局面想定するだけでも10パターンくらいあるんですかね。

3手先までやろうとすると数十パターンとかになってきます。

これを毎回"詰めろかどうかチェック"するときに、1つチェックするのを10秒や20秒もかけてたら、秒読みの世界では間に合わないのです。

ていうんで、例えば秒読み1分の将棋で20パターン読もうとしたら、"詰めろかどうかチェック"1回あたり3秒以内にこなさないといけなくなりますよね。

結論として、短手数の詰将棋1問を見た瞬間に解けるくらいまでやり込むと勝ちにつながる、ということです。


では早速皆さん、詰将棋を解いていきましょう。

2017年5月15日月曜日

詰んでると気付ける力

将棋強くなるにはどうしたらいいですか、って時に「詰将棋をする」というのが1つありますよね。

詰将棋するとどうして強くなれるのか、について書いていきたいと思います。


詰将棋の取り組み方として
①短手数の問題を大量に解く
②長手数の問題を時間かけて解く
の2パターンあるとおもいます。
(その間をとったようなのもありますけども。。)

②の長手数の問題を時間かけて一生懸命読むのは、深く読む力が鍛えられます。
読むのを面倒くさがらない習慣が付くとか、集中力が付くとか、そういったことですね。

ひとまず②のほうは置いといて、今回は①の"短手数の問題を大量に解く"ことによる詰将棋の効果について書いていきます。


短手数の問題をたくさん解いて、どういった効果があるかといえば、まずは詰みの形をたくさん覚えられるということです。

実戦で1手詰や3手詰の局面が出てきたときに、きっちり相手玉を仕留めることができるということです。

形を知っていれば「これは詰みだ」とすぐ気づくことができます。

形を知らなければ気づくのに時間がかかりますし、ひどい時には詰みを見逃してしまうこともあります。

詰ませられる局面できっちり相手玉を詰ませられるようにならなければ、将棋は勝てません。

当たり前といえば当たり前かもしれません。

詰みを逃したせいで、相手に自玉を詰まされてしまって負けたパターンってありますよね。

これを繰り返しているうちは、勝てる将棋も勝てていないということなので、いつまでたっても負けっぱなしのままです。

そんなわけで、詰みの形を覚えて、その局面になった時に「詰みだ!」と瞬時に気づける能力は、将棋を勝つためには非常に重要な能力なのです。

そしてこの能力を鍛えるためには、ひたすら短手数の詰将棋を解くことです。

200問くらいで1冊になった詰将棋本がありますが、ああいった本をとにかく繰り返してやり込むのが大事です。

1通り解けたから終わり、というのではトレーニングになってません。

1問をどれだけ短時間で解けるようになるか、というのが大事ななので、繰り返しやり込むのです。

もちろん10周や20周すれば問題を覚えてしまうかもしれませんが、むしろそのくらいが丁度いいのです。

形を覚えるためにやってるのですから。

将棋を始めたてだったり、指しても全然勝てないという人は1手詰、そこそこ将棋やってきた人は3手詰あたりに取り組むのが良いでしょう。

最初は1問解くのに30秒や1分、あるいはそれ以上かかるかも知れません。

これをとにかく繰り返し解いて、1問を10秒や5秒や程度で解けるようにするのが大事です。

実戦で1手や3手詰の詰み筋気づくのに1分もかかってたら、全然勝ちに結び付きませんからね。

ということで、今回は
"①短手数の問題を大量に解く"ことで"瞬時に「詰みだ!」と気付ける"ようになることを書きました。

短手数の詰将棋を解いて得られるものは、これだけではありません。

瞬時に「詰みだ!」と気づけるようになるため"だけ"に詰将棋を解くのではないのです。

詰将棋を解くことで勝ちに結び付くほかの理由もたくさんあるので、改めて別記事で書いていきたいと思います。