2017年7月29日土曜日

雁木戦法

相居飛車の将棋で、雁木戦法というものがあります。

今回はこの雁木戦法の紹介をしていきます。

雁木囲い

まず、雁木囲いというものがあって、下図のような囲いのことを言います。


6七と5七の地点に銀を配置して二枚銀の形を作り、金をひとつづつ上がって玉を1つ寄る囲いです。

相居飛車戦で使われる囲いで、二枚銀がしっかりしているので上部からの攻めに強いです。

矢倉戦で右四間飛車急戦を仕掛けられたときにも、この二枚銀を作り雁木を組んで受ける指し方が定跡となっています。

定跡にも現れるくらい、優秀な囲いと言えます。

反面、矢倉と違って▲7七銀型ではないため、8筋を守るのは左金1枚ですから、単純に棒銀で来られると受けにくいという弱点もあります。

囲いの特徴としては、角筋に自分の駒が配置されていないというのが最も大きいでしょう。

戦う時には▲6五歩と角道を開けます。
矢倉のように7七に銀がいないので、角を動かさなくても敵陣まで角の利きが届きます。

また、角を転換するときも▲7七角~▲5九角~▲2六角と3手で転換することができるのが強みです。角の通り道に自分の駒が置いてないからこその手得です。

矢倉の場合は▲7九角~▲6八角~▲5九角~▲2六角(▲7九角~▲4六角~▲3七角~▲2六角)と4手かけることになります。

とにかく素早く攻める将棋に向いた囲いです。


相居飛車戦での囲いなので、対振り飛車戦には向きません。

飛車を渡すとすぐに寄せられてしまう囲いです。

囲う手順

まず▲7六歩~▲6六歩として角道を閉じ、矢倉や振り飛車をにおわせます。
次に▲7八銀~▲6七銀として、矢倉にはしないことを意思表示し、振り飛車濃厚と見せます。
それから▲4八銀~▲5七銀と2枚目の銀を上げ、振り飛車でもなさそうに見せて相手を戸惑わせます。
そして▲7八金と上がって相手の飛車先に備え、▲6九玉と左に囲って居飛車で戦う姿勢を確定させます。
最後に▲5八金右と上がって囲いの完成です。

最初から雁木を目指して駒組をするなら、この手順が最も一般的です。

▲6七銀まで上がった時点で、相手は振り飛車に備えた駒組みをしてくることがほとんどです。

つまり舟囲いで2段目に玉を囲うため、上部からの攻めには弱い格好となります。

雁木は相居飛車の戦法で縦から攻めるため、相手を舟囲いに組ませるだけでもポイントを取ったことになります。


攻め方

居角型

雁木戦法は右四間飛車に構えて攻めるのが王道です。


攻めは飛車角銀桂の4枚を使って、一点集中で突破していきます。

手順としては▲4五歩と突き捨て、それから▲3七桂と跳ねていきます。

後から▲4六銀と応援を繰り出していくため、通常の腰掛銀に組む右四間飛車と比べると攻め足はやや遅めです。

その代わり、どこかで5筋の歩も突き捨てて戦線を広げるなど、非常に受けにくい攻めを仕掛けることができます。

角転換型

角を右に転換してから仕掛ける攻めもあります。


後手から△6四歩を先に突かれてしまって▲6五歩が突けない場合などは、角を右に転換して攻めることがあります。

この場合も攻め駒は飛車角銀桂の4枚で、非常に破壊力のある攻めとなります。

仕掛けの細かい手順はまた別記事として検討していきたいと思います。



その他の戦い方

二枚銀を使ってどんどん盛り上がっていく指し方もあります。


相手が角を転換してきたときに有効な指し方で、金銀を盛り上がっていって相手の大駒を押さえ込みます。

あわよくば入玉してしまおうという指し方になります。

プロが指さない理由

雁木戦法は優秀な戦法ですが、プロが指さないのには理由があります。

①攻めが単調
②囲いが薄い

この2点が大きな理由でしょう。

戦法として欠陥があるわけではありません。勝率が見込めないため雁木を進んで採用しないというだけです。

こういったマイナー戦法は、アマチュア同士の対局でも現れにくいです。

裏を返せば、滅多に指されない戦法だからこそ、対策を持っていない人が多いので、雁木を使えば意外と勝てるとも言えます。

矢倉早囲いを見せられた時にも、雁木に変化して急戦を仕掛けることができるなど、なかなか使い勝手のいい戦法だと思います。

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